切手代、文房具などの備品代、交通費など日々の業務で生じる、ちょっとした出費に備えて、会社に現金を置いておく「小口現金」は社員が立て替えたお金がすぐに返金されるなど便利である反面、管理面で小口現金管理の経理担当者の業務を煩雑にしてしまっている一面もあります。

小口現金を廃止することには、どのようなメリットやデメリットがあり、実際にどのような方法で廃止することができるのでしょうか。この記事ではこれらの点について詳しく解説していきます。

経理課
小口現金の廃止を考えているのですが、実際に廃止するとなると日々生じる細かな経費の精算をどうしたらよいかなどの不安があります。毎日、小口現金の精算を行うのは業務の負担も大きく、膨大な時間がかかっているのも事実なので、小口現金を廃止すると本当に業務の効率化に繋がるのかどうかが知りたいです。
専門家
会計専門家の私がその疑問にお答えしますね。確かに、これまで当たり前のように使ってきた小口現金を廃止するにあたって不安を感じられるのも当然です。しかし、小口現金の廃止は経理担当者の業務負担だけでなく、申請する各社員の業務の負担を軽くして、仕事を効率的に行える良い方法です。これまで現金で精算していた経費を口座振替や法人用クレジットカードで精算することで、経費精算の業務を効率化してきた企業が実際に数多くあります。

そもそも小口現金とは「会社においておく現金のこと」

そもそも小口現金が何かわかりそうでわかりにくいですよね。

小口現金とは、会社に置いておく少額の現金のことです。小口現金を会社に置いておき、必要な社員に予め渡しておくことで、各自立替えて後で経費精算するという手間を省き、トラブルを避けることができます。

現金を大量に保管することは紛失のリスクがあるので、少量保管の小口現金にはメリットがあります。

小口現金の出納帳について書き方について知りたい方は下記記事をご覧ください。

そもそも小口現金の出納帳とは何?という方は下記の記事がおすすめです。

小口現金を廃止する4つのメリット

小口現金を廃止する4つのメリットを一つずつご紹介していきます。

メリット① 毎日、小口現金を数えなくてよくなる

小口現金での経費精算はその日のうちに精算されるという利便性があり、立て替える側の負担を軽くできます。しかし、経理担当者は毎日、小口現金の残高確認をしなければならず、帳簿と残高に1円でもずれがあれば、計算が合うまで差額の原因を調査して、何度も残高を数えなおさなければなりません。

小口現金を廃止すれば、毎日の残高確認の業務がなくなり、残高が合うまで帰れないということもなくなります。

メリット② 小口現金の紛失・盗難のリスクが減る

会社によっては、小口現金として常に100万円ほどの現金を管理しているところもあります。会社には多くの人が出入りするため、現金を会社に保管しておく以上は盗難のリスクは避けられません。また、管理する人の過失で紛失するリスクもあります。さらに、考えたくはありませんが横領などのトラブルのリスクがあることも事実です。

小口現金を廃止すれば、そのようなトラブルが起こるリスクを減らすことができます

メリット③ 経理担当者の仕事が効率化する

経費精算を申請する社員は一人ではないので、会社の規模が大きくなればなるほど経費精算にかかる時間が多くなります。一人の小口現金での精算が終わり、他の仕事に取りかかったところでまた別の社員に精算を依頼されると、そこでまた手を止めて小口現金での精算をしなければなりません。

小口現金を廃止することで、経費精算業務をまとめておこなうことができ、経理担当者の本来の経理業務を効率的におこなえるようにようになります。

メリット④ 社員が本来の業務に集中しやすくなる

その都度、申請・承認作業が必要な小口現金での清算は、各社員にとっても手間と時間がかかる作業です。小口現金を廃止することで、これらの手間と時間を削減でき、各社員が本来の業務に集中しやすい環境を作ることができます。

 

小口現金を廃止する3つのデメリット

小口現金を廃止することの3つのデメリットを一つずつご紹介していきます。

デメリット① 経費精算までにタイムラグが生じる

最もデメリットと感じやすい点として、経費を精算するまでにタイムラグが生じてしまうことでしょう。小口現金を廃止した場合、精算は会社で決めた一定の期間、例えば、1ヵ月ごとの精算になります。少額であれば気にならないかもしれませんが、立て替えている金額が高額になると社員にかかる負担も大きくなってしまいかねません。

そのため、海外出張など多額のお金が必要になることがわかっている場合は、「仮払い」を行うことがおすすめです。
仮払いについては下記記事をご覧ください。

デメリット② 領収書を紛失するリスクが高くなる

その都度、立て替えた金額を精算できないとなると、一定の期間、領収書を保管しておいて、まとめて申請するという形になります。そのため、時間が経って、領収書を紛失してしまったり、経費がどれだったかが分からなくなってしまったりして、経費の精算が難しくなるというリスクも高くなります。

しかし、その都度、経費精算のために上司の承認をもらい、経理担当者を探して申請するという手間を思うと各社員の業務量は格段に楽になり、リスクを補って余りあるメリットがあるといえます。

デメリット③ 銀行振り込みにする場合、振込手数料がかかる

立て替えてもらった経費を銀行振り込みで精算する場合は、現金で手渡しではないので振込手数料がかかってしまいます。しかし、月に1回、給料と一緒に振り込むようにすれば、振込手数料が二重にかかることはありません。

もしくは、立て替えてもらった経費を精算するための口座を、まとめて同じ銀行の同じ支店で作成することで振込手数料を抑えるなどの工夫をすることもできます。

小口現金を廃止する5つの方法

実際に、小口現金を廃止するための5つの方法をご紹介します。ご自身の会社にあった方法を組み合わせて導入することで、経費精算業務を効率化させることができます。

方法① 立て替えてもらった経費を月に1度、振り込みで精算

社員に立て替えた経費を、月に1回まとめて申請してもらい、給料と一緒に口座振り込みで精算するという方法があります。月に1回、申請書を作成してもらい、領収書と一緒に提出してもらうことで、その都度、申請する手間と時間を削減できます。

こちらの方法を取る場合、経費精算システムも合わせて利用すると、業務が非常に楽になります。下記の記事で小口現金管理を楽にするシステムを紹介していますのでぜひご覧ください。

方法② 取引業者は口座振替に変更する

新聞代など、いつも直接会社に集金に来てもらっていた取引業者がある場合は、口座振替に変更することで、小口現金から支払わなくてもよくなります。切り替えまでに時間がかかる場合もありますが、切り替え後は口座から引き落とされるようになります。

方法③ 備品はネットで購入する

文房具やコピー用紙など、これまで社員が立て替えて購入していた備品などは、ネットで購入するようにすることで小口現金での精算が不要になります。すぐに必要という場合でも、発注したら翌日には会社に配達してくれるサービスなどもあるので活用するとよいでしょう。

方法④ 事前に仮払金を支給する

出張などで高額の建て替えが必要になることが予想される場合は、前もって仮払金を支給しておくという方法もあります。後日、領収書を提出してもらうことで差額分を精算し、給料振り込みの際に同時に不足分を振り込むなどの方法で調整をはかれます。

方法⑤ 法人用クレジットカードを導入する

いつも高額の建て替えをしている社員などには法人用のクレジットカードを渡して、クレジットカード決済を推奨するという方法があります。現金でのやり取りがなくなり、購入履歴もクレジットカード履歴として残るので、精算の手間を省くことができます。

経費精算の利用において便利な法人カードを下記の記事で紹介しておりますのでぜひご覧ください。

まとめ

小口現金で精算するというシステムは、その都度、経費を精算してもらえるので、立て替える側の社員の経済的負担を軽くすることができます。しかし、精算の申請がある度に経理担当者は業務の手を止めて、精算しなければならず、本来の経理業務の効率が下がります。申請者もその都度、申請書を作成し、上司の承認をもらい、経理担当者を探して精算を依頼しなければならず、時間も手間もかかります。

小口現金をなくすことでこれらの時間や手間を省き、すべての社員が本来の業務に集中しやすくなります。精算までにタイムラグが生じるなどの幾つかのデメリットはありますが、メリットと比較するとデメリットを補って余りあると感じる会社も多いはずです。経費精算業務を一気に楽にするために、この機会に小口現金の廃止を考えてみてはいかがでしょうか。

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