
小口現金出納帳の作成を依頼され、困ってしまった経験はありませんか?経理に慣れていない方にとって、小口現金出納帳はどの項目に何を書けばいいのかわからなくなってしまうことが非常に多いです。
小口現金を担当する人が記入方法をうまく理解できないと、経理担当者の手直しや指導にかかる時間も必要となってしまいます。この記事では小口現金出納帳を誰でも作れるように、フォーマットへの記入例をもとに説明しています。
ちなみに筆者である私はとある中小企業の経理事務として2年間勤務した経験があります。私自身の経験を元に小口現金出納帳の作り方と、手書きを避けた方がいい理由について紹介していますので、参考にしてくださいね。
専門家
小口現金出納帳とは?現金出納帳と何が違うの?
小口として預けられた一定金額の現金を管理するために使うのが小口現金出納帳です。同様に現金を管理する現金出納帳と、どのような違いがあるのかご存知でしょうか。
小口現金出納帳と現金出納帳の定義は以下の通りです。
- 小口現金出納帳:小口現金の補給や支払いを記録する帳簿。一定の現金を受け取った人が作成
- 現金出納帳:会社の現金について記録する帳簿。経理担当者が作成
つまり、それぞれの出納帳では管理する内容や担当者が異なります。
そもそも小口現金は、経理担当者が一定額を管理者に渡します。会社の一部の現金を管理するための帳簿と考えるとイメージしやすいでしょう。
小口現金出納帳の書き方!記入例もあわせて紹介
記事の後半でも紹介しますが、小口現金出納帳はExcelでつくるのが簡単な上に正確なのでおすすめです。
今回はExcelのテンプレートを利用した小口現金出納帳の書き方を紹介します。フォーマットはこちらからダウンロードできますので活用してください。
こちらのデータを元に、実際の記入例と合わせてチェックしていきましょう。
取引開始時の出納帳書き方
まず発生するのが現金の受入です。会社の規定によってもさまざまですが、10,000円から100,000円程度の金額で補給されるのが一般的です。今回のケースでは以下のように記帳します。
例題)2019年4月1日に10,000円の補給を受けた。
受入金額:10,000円
日付:4月1日
摘要:受入
必ず1行目に受入が入ると覚えておきましょう。
現金の出し入れ時の出納帳書き方
現金受入の記帳が完了したら、現金を使用するたびに記帳を続けます。記入例は以下の通りです。
受入金額:空欄
日付:お金を使った日
摘要:お金を使った理由
支払金額:お金を使った額
支払内訳:該当する科目の欄に金額を記載する
支払内訳については記事の後半で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてくださいね。
締め作業の出納帳書き方
現金を預かっている間は、会社が規定する一定の期間で清算を行い、足りなくなった分を補充してもらう必要があります。
補充を受けるために必要な締め作業は、以下の順番で行うとスムーズです。
- 次月に残高を繰越する処理
- 前月の残高を繰越する処理
- 足りなくなった現金の補充を受けた処理
記入例と合わせて順番に見ていきましょう。
次月に残高を繰越する処理
まずは次月に残高金額を繰越します。手順としては現金の残高を計算し、次月繰越欄に金額を記入します。
例題)当月に2,980円を利用し、残金7,020円を次月に繰り越した。
①合計欄の作成
摘要:合計
支払金額:一定期間の支払金額の合計
支払内訳:それぞれの科目の合計
②次月繰越欄の作成
日付:繰越を行った日付(月末が多い)
支払金額:受入金額から支払金額を差し引いた金額(今回の場合は10,000円-2,980円)
③受入金額と支払金額の一致を確認
受入金額:受入金額欄の合計金額
支払金額:合計欄と次月繰越欄の合計金額
③の欄を見て金額の一致を確認します。
前月の残高を繰越する処理
次月繰越が完了したら、翌月月初に前月繰越を行いましょう。
この表では次月繰越は4月の月末に、前月繰越は5月の月初に行っています。出納帳のみを見ていると少し混乱してしまいがちですが、実際に処理をするとイメージが付きやすいはずです。
例題)前月の残高として繰越されていた7,020円を計上した。
受入金額:次月繰越をした時の支払金額(前月の残高)
日付:月初の日付
摘要:前月繰越
これで当月分(この表では5月分)の記帳をスタートできます。
足りなくなった現金の補充を受けた処理
最後に経理担当者から補給を受けた際の記帳方法を紹介します。
小口現金は一定の金額をまとめて受け取っている状態なので、使えば使うほどなくなってしまうのは当然のことです。
経理担当者も他の業務があるため、急にいわれてもすぐにお金を用意できません。残高が少なくなってきたら、早めに帳簿の内容を報告し、補給を受けるようにしましょう。
受入金額:補給された金額
日付:補給を受けた日
摘要:本日補給
今回は、4月30日に4月使用分である2,980円を経理担当者へ報告し、5月1日に補給を受けた場合の記帳です。
小口現金出納帳によく登場する6つの項目
帳簿作成流れを確認しました。しかし実際に小口現金出納帳を作ってみようとすると、まず直面するのが何をどの支払内訳に分類すべきかわからないという悩みです。
ここからは、特に発生しやすい6つの科目について、記入例と合わせて紹介します。
①通信費
通信費とは電話や郵送などの通信にかかる費用の事です。
例えば、4月5日に切手代180円を支払った場合は以下のように記帳します。
通信費に該当するものは以下のものがあります。
・電話代
・切手代
・インターネット関連費用 等
②光熱費
光熱費とは、生活する上で欠かせない電気やガスなどのエネルギーにかかる費用の事です。
例えば、4月9日に電気代2,000円を支払った場合は以下のように記帳します。
光熱費に該当するものは以下の通りです。
・電気代
・ガス代
・水道代
・暖房や発電に使う灯油代 等
③消耗品費
消耗品費とは、文房具や清掃用品などの業務を行う上で必要なもののうち、いずれなくなってしまうものをさします。
例えば、4月15日に文房具購入費用の350円を支払った場合は以下のように記帳します。
光熱費に該当するものは以下のものがあります。
・ペンやふせんなどの筆記用具
・コピー用紙やインク
・洗剤やハンドソープ 等
④新聞図書費
新聞図書費は、新聞や仕事の資料の本などを購入した時に使う科目です。
例えば、4月17日に新聞代400円を支払った場合は以下のように記帳します。
新聞図書費に該当するものは以下のものが挙げられます。
・新聞代
・書籍代 等
⑤交通費
交通費とは、仕事のための移動により電車や飛行機などを利用した時に発生します。
例えば、4月28日に電車代450円を支払った場合は以下のように記帳します。
交通費に該当するものは以下のものが挙げられます。
・電車代
・バス代
・タクシー代 等
⑥雑費
上で紹介した各費用のいずれにも該当しないものは、雑費として処理をします。
しかし費用が発生する場合は必ず何かの科目に分類できるため、雑費を使うことはとても稀です。特に小口現金出納帳の場合は、管理者がどの科目に分類するべきかわからなかったものが雑費として計上されている可能性が非常に高いです。
雑費として計上する場合は、かならず何に使った費用なのかを分かるようにしておきましょう。また、経理担当者は雑費の内訳を必ず確認し、割り振ることができる科目があれば修正しましょう。
小口現金出納帳の手書きはNG?その理由は?
この帳簿は手書きでも作成が可能です。しかし最近はパソコンの普及によって、手書きで行う会社は減少する一方です。
手書きの小口現金出納帳はなぜNGなのでしょうか。その理由とともに手書き以外の方法で記帳する方法を紹介します。
小口現金出納帳作成において、手書きを避けた方がいい理由は以下のものがあります。
- 間違いが起こりやすいから
- 帳簿自体を紛失する恐れがあるから
- 手間がかかるから
パソコンを使った帳簿作成によってこれらの不安は解消され、より手軽で確実に帳簿の作成ができます。
手書き以外の小口現金出納帳の作り方
手書き以外の方法で作成するには、以下の2通りの方法がおすすめです。
- Excelをつかう
- 経費精算システムをつかう
Excelを使った作成は、自動計算などを取り入れることでミスの軽減や作成時間の短縮につながります。
また、経費精算システムを使うとさらに簡単に作ることができます。もし会社全体で導入をしていれば、帳簿の提出もクラウド上で行う事が可能です。この機会に、便利な経費精算システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
小口現金出納帳の作り方について、記入例とともに詳しく紹介しました。特に経理に携わったことがない方は、小口現金出納帳の作成を任せられても何から手を付けていいのかわからなくなってしまいがちです。
しかし小口現金出納帳は提出しなければ補給を受けられません。そこで、今回の記事では真似すれば帳簿を作成できるように、できるだけ詳しく紹介しました。
まずは丸写しでも構わないので作成してみて、経理担当者に提出して指導やアドバイスを受けましょう。
また、小口現金出納帳作成は手書きよりもパソコンがおすすめです。経費精算システムやExcelなどをうまく使って、できるだけ正確で手軽な方法を選んでくださいね!