「次々と条件が緩和される電子帳簿保存法の改正点を知りたい!」

1998年に制定されてから現在まで、何度か大きな改正が行われてきた電子帳簿保存法ですが、興味はあるものの実際の申請法や運用が分からないという経理担当者も多いですよね。
当初は適用の条件が厳しすぎてほとんど利用されなかった電子帳簿保存法ですが、改正される度に条件が緩和され当時と比較するとグンと利用しやすい制度になっています。

例えば現在はスキャナではなくスマホで撮影した画像でもOKになり、領収書の原本を破棄して電子データのみで保存することが認められるようになりました。

今回は2019年に改正された最新の情報だけでなく、実際の申請の手順やおすすめの経費精算システムまでを紹介します。
この記事を読めば思ったより簡単に電子帳簿保存法を導入できることが理解していただけるでしょう。

電子帳簿保存法って数年ごとに改正が行われているけど、本当に使いやすい制度になっているのか疑問よね…。
専用のシステムを導入する必要もあるし、具体的に私達経理担当の負担がどのくらい減るのかイマイチわからないし。
電子帳簿保存法の改正は現場で働く経理担当や従業員にとって、間違いなく負担を減らすことができる制度なんです!
スマホで撮った画像を領収書として利用したり原本を破棄したりと、手間と保管場所がグンと削減できる可能性があります。
2019年の改正では企業だけでなく個人事業主にとっても嬉しいポイントがありますし、これを機に導入を検討してみるといいですね。

そもそも電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、1998年に企業のペーパーレス化を促進するために定められた法律です。
この法律のおかげで、日々の経理で増え続ける領収書や帳簿、決算書類を電子データ化して保存できるようになりました。

施行当時は条件が厳しすぎて利用する企業は少なかったのですが、2019年までに何度かの大きな改正が行われ条件が緩和されています。
特に2018年の改正ではスマホ画像データが認められ、A4サイズ以下の領収書の保存も可能となりました。

電子帳簿保存法導入のメリット/デメリット

当初は利用する企業が少なかった電子帳簿保存法は、3つの大きなメリットと同時にデメリットも存在します。
企業の経理としての経験がある筆者からみた、メリット・デメリットを紹介します。

電子帳簿保存法 3つのメリット

メリット① 検索が楽になり会計監査等の調査の負担が減る

証憑類を電子データで保存しておけば、誰でも簡単にアクセスして必要な領収書を探し出せます。
今までは経理担当が会計監査や内部統制のたびに、証憑をめくって手作業で探していました。
電子帳簿保存法の基準に合う形でデータを作成すれば、マニュアル通りに検索するだけで時間をかけずに監査などの準備が整います。

メリット② かすれや破れなど紙のリスクがない

電子データでの保存は紙の領収書を保存する際に発生する、印字のかすれや破れなどのトラブルを避けられます。
特に感熱紙タイプの領収書は経年劣化により印字か薄くなりがちのため、電子帳簿保存法のメリットが大きいといえるでしょう。
他にも領収書のファイルを保管する場所が不要になるため、スペースを確保する問題からも解放されます。

メリット③ 働き方改革にもつながる

領収書を電子化することで経理担当の手作業が減るため、業務時間が短縮され本来の仕事に割り当てる時間が増えるメリットがあります。
外出先や出張先でも領収書をスマホでデータ化できるのは、会社に戻った後の旅費清算処理の時間短縮につながります。
企業の残業時間を減らす取り組みが盛り込まれた「働き方改革」の手助けとなり、業務を効率化できるチャンスとなるでしょう。

電子帳簿保存法 3つのデメリット

デメリット① システム導入費・人件費がかかる

電子帳簿保存法を導入するためには、条件に合った経費精算システムを導入する必要があります。
具体的にはシステムの選定、使い方のマニュアルを作成する人件費や、実際に導入するシステム費用などが発生します。
長い目で見ると残業代など人件費の節減になるのですが、初期投資としてある程度のまとまったお金が必要になるでしょう。

デメリット② 社内周知と申請者の教育に時間がかかる

経理が社内マニュアルを作成し実際に運用を開始する前に行う、社員(申請者)の教育と周知に時間がかかる可能性があります。
今までの紙ベースでの領収書から電子データを使った旅費精算に変わるわけですから、撮影の手順や操作、経理とのやり取りなど一から教える必要があります。

デメリット③ 税理士などの専門家に相談したほうが無難

会社の経理処理を正しく行わないと、税務調査が入った際にきちんとした対応ができないというリスクがあります。
紙ベースの経理法とは違う電子帳簿保存法では、今までの経験則を使えない場面も出てくるでしょう。
そのため税理士や会計士などの専門家に相談したり、確認してもらいながら制度を運用することをおすすめします。

2019年(令和元年)に改正された電子帳簿保存法 2つの変更点

今まで2016年と2018年に大きな改正が行われた電子帳簿保存法ですが、2019年度最新の改正点をご紹介します。

改正点① 個人事業主は事業開始直後から電子化が可能に

  • 改正前 → 事業開始3カ月前に申請しないと適用されない
  • 改正後 → 事業開始の2日前までに申請すれば開始と同時に電子化OK

今までは税務署への申請は開始予定日の3カ月前とされていたため、4月から電子化したい場合は前年の12月31日までに申請する必要がありました。
今回の改正では個人事業主に限り2019年4月以降は、事業開始日2日以内の申請で電子化が認められることになりました。

改正点② 2019年9月30日以降の申請なら遡って電子化が可能に

  • 改正前 → 申請前の書類は電子化できない
  • 改正後 → 申請前の重要書類に関しても電子化が可能に

改正前は申請後の重要書類(領収書や契約書)のみ電子化が認められていましたが、2019年9月30日以降の申請は遡っての電子化ができるようになりました。

現在までの電子帳簿保存法 改正の流れ

電子帳簿保存法の改正の流れ

最新の改正点を確認した後は、施行から現在までの電子帳簿保存法の流れをみていきましょう。

1. スキャン機器の緩和とスマホ撮影の許可

2005年からはスキャナーを使った電子データの保存が認められましたが、原稿台と一体の機器に限られていました。
カメラの性能がアップしたことなどから、2018年よりスマホ撮影での画像が認められ、外出先で領収書を電子データ化することが可能となっています。

2. 書類原本の破棄が可能

会社には7年の国税関係書類の保存が義務付けられています。
筆者の勤めていた大企業でも書庫を用意して膨大な書類の管理を行っていましたが、書類を探す手間もかかり経理担当にとっては非常に負担の大きい作業でした。

しかし2008年の改正の際に電子データ化した書類は、一定の検査をうけることで原本の破棄が認められました。
申請者と経理担当の手間が削減できるのと同時に、保管場所を確保する必要がなくなるため、企業にとってもメリットの大きな改正といえます。

3. 取引金額の上限が撤廃

電子化できる契約書や領収書の金額は、取引の金額が3万円を上限とするルールが2016年に撤廃されています。
これで全ての帳簿・決算関係書類以外の国税関係書類を電子化することができるようになり、さらに利便性が高くなりました。

4. 電子データの制約が緩和

電子帳簿保存法では保存する電子データにも一定の決まりがありますが、こちらも徐々に緩和の方向へと進んでいます。

(1) タイムスタンプの証明だけでOKに

2016年の改正までは取得した電子データに「電子署名」と「タイムスタンプ」の両方が必要でしたが、改正後は書類をデータ化した後、3日以内にタイムスタンプ処理をするだけでよくなりました。
電子データの真実性を担保するために導入された仕組みですが、どちらも外部機関に依頼する必要がありコストがかかるのがデメリットでした。

(2) グレースケール(白黒)での保存が認められる

2018年の改正ではグレースケール(白黒)でのデータ保存が認められました。
また、レシートや領収書など小さめの書類(A4以下)は、画像サイズのデータ保存という要件が撤廃されています。

5. 小規模企業者の特例が制定

電子帳簿保存法の制度を導入する際には、社内で以下の3点を整備する必要があります。

  1. 相互けんせい
  2. 定期的な検査
  3. 再発防止策

簡単に説明すると①書類の保存と確認を別々の人が行う②最低でも年に1回の定期検査を受ける必要がある③検査で問題が発覚した際に報告・原因の究明・改善が行える体制を社内で整える、といった必要があるのです。

2018年の改正では従業員の少ない小規模事業者(従業員20人以下、サービス業や商業では5人以下)は、2の「定期的な検査」を税理士に委託できるようになりました。
税理士へ委任を行えば1の「相互けんせい」が不要となるため、従業員の少ない小規模事業主でも電子帳簿保存法を利用しやすくなっています。

電子帳簿保存法が生まれた背景と今後の方向性

電子帳簿保存法の方向性

会社の経済活動や利益に関係のない膨大な書類の保管と、それに伴う管理の手間・労力を削減するのは日本企業の課題でした。
この状況を打破するために制定された電子帳簿保存法ですが、まだ完全に普及しているとはいえません。
しかし今後も健全な企業活動のために規制が緩和され、取り入れやすい環境が整っていく可能性が高いでしょう。

保管スペースの縮小を目指す

会社で日々発生する取引には膨大な枚数の書類が必要となりますが、電子帳簿保存法を利用すればスペースが不要になります。
7年の保管義務があるため場所の確保に頭を悩ませ、わざわざ保管場所を借りる場合もあるほどです。
そのような企業の生産性に関係のない作業を減らし、効率を上げるために導入されたのが電子帳簿保存法になります。

企業の省力化を後押し

書類の保管だけでなく領収書などを清算して台紙に貼りつける手間や、証憑類をファイルから探す手間を省くことが企業の作業効率を上げるポイントとなります。
書類をサッと電子化していつでも必要な情報を取り出せる状態は、費用と労力の削減につながるのです。

電子帳簿保存法の改正にも対応!導入への2ステップ

導入に当たっては電子帳簿保存法に対応したシステムの導入が条件ですが、他にも日々の経理処理を楽にする便利な機能も数多く搭載されています。
初期投資が必要なので導入をためらっている企業もあると思います。
しかし、経理や従業員の負担を減らし効率化を図るために検討してみてはいかがでしょうか?

ステップ① 税務署への申請準備

電子帳簿保存法を自社で始める場合は、電子保存を開始する予定日の3カ月前までに、必要書類とともに税務署に申請する必要があります。
「Dr.経費精算」のように経費精算システムの中には、面倒な申請作業を代行してくれるサポートシステムもあります。
詳しくは下記の国税庁HPをご覧ください。

国税庁:国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請

ステップ② 電子帳簿保存法の基準を満たした精算システムを導入

電子データ化した画像には、改ざんされていないことを証明する「タイムスタンプ」を付与する必要があります。
中にはスマホ等で撮影した画像に自動でタイムスタンプを付与し、保存できるサービスを提案しているシステムも存在します。

Dr経費精算 スクショ

一流企業導入シェアNO.1の「Dr.経費精算」ならタイムスタンプ機能だけでなく、申請から社内マニュアルの作成、相談窓口の開設までトータルでサポートしてくれます。

今後の電子帳簿保存法改正にも対応できるシステムを選ぼう!

施行から20年以上が経過した電子帳簿保存法ですが、現在も改正が繰り返され徐々に使い勝手の良い制度へと変わってきました。
外出先でスマホ撮影した画像が使用できるなど、出張の多いビジネスマンにもメリットが大きいといえます。

経理や社内でも保管場所問題が解決され、検索性が向上し作業効率がアップするなど、本来の業務へ取り組む時間が増えることが予想されます。

電子帳簿保存法は要件に対応したシステムの導入が必要ですが、申請サポートやアフターフォローなどがしっかりしたブランドを選ぶことが大切です。
今回の改正を契機にあなたの会社でも電子帳簿保存法の導入を検討してみてくださいね。

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