領収書を保存しなければならないことは理解していても、いったい何年分保管しないといけないのか、という部分は曖昧かもしれません。

そこでこの記事では、その曖昧な部分をクリアにします。どのような形で何年分保管しないといけないのかということをご説明していくので、記事を読んでご自身の経理に役立ててください。

経理課
毎回領収書を、ノートに綺麗に貼っているけど、とても時間がかかります。どうにかなりませんか?
専門家
実は領収書は、綺麗に保管する必要がありません。私は上場企業の経理部に3年在籍した経験を持っています。小口現金と税務の担当をしていたこともあり、領収書の扱いはお手の物です。領収書の概要と合わせて、領収書の簡単な保管方法をご説明していきますね。

領収書とは?残しておく領収書は法人と個人事業主で違う

領収書とは、その取引において「金銭を支払った」という根拠を示すための書類です。

法人であれ個人事業主であれ、領収書は経費を精算する際に必ず必要であり、確定申告のときには領収書の情報を使って計算をします。

残しておくべき領収書が法人と個人とで異なるかといえば、基本的には同様です。事業でかかった費用の領収書は、残しておかなければなりません。この辺りについて、法人と個人事業主のそれぞれで解説していきます。

法人が残しておくべき領収書とは?

法人では、業務に関する出費は全て経費と考え、そのときに発行された領収書は全て保管しておかなければなりません

領収書には詳細まで記載されないことから、その出費の理由や内容があとでみてわからないようなものであればメモを残しておくようにしましょう

事務用品などは文字通りなので問題ないのですが、打ち合わせや接待で行う会食などの場合、領収書には「食事代」としか記載されません。こういう場合に、どのような用事(打ち合わせなど)で、誰と行ったのかを領収書にしたためておくと、あとで見返したときに混乱することがないので安心です。

個人事業主が残しておくべき領収書とは?

個人事業主の場合も同様に、業務に関わる出費は全て経費なので、それに関する領収書は全て保管します。

しかし、例外もあります。それが生活(プライベート)で支払ったお金です。1部の個人事業主はこの辺を勘違いして、プライベートで支払ったお金を事業経費として確定申告に計上しています。これは脱税になってしまうので要注意です。プライベートで支払ったお金については事業経費として認識できないので、領収書を貰わないようにするのが経理を複雑にしないためのコツです。

領収書の保管方法は月別に分けて保管しておこう

整理せず財布の中に入れておくと、知らない間にいっぱいになってしまう領収書ですが、非常に重要なものです。領収書を残しておく最大の理由は、申告書の数字の証明です。その証明は、税務調査という形で税務署員が行います。

この時、税務署員に渡す領収書は、なにも綺麗に並べて貼り付けて保管する必要はなく、月別に分けた封筒に入れて置くだけで問題ありません。綺麗に貼り付けてお渡しすると税務署員の心象は良くなりますが、その分整理する時間が減るので、他の確認作業時間が増える恐れがあります。小賢しい手ですが、税務調査を警戒するなら領収書を綺麗に整理して保存するのは避けたほうがいいでしょう。

しかし、法人になるとそうはいきません。経理規定で領収書の保管方法が規定されていたり、内部統制で業務フローが決まっていたら、領収書を綺麗に保管しなければなりません。保管方法や整理方法については、個人と法人で異なるところがあるので、それぞれに適した保管方法や整理方法と取るようにしましょう。

領収書の保管期間は法人と個人事業主で異なるが、原則7年の保管

領収書は、所得税法で保管期間が定められています。

法人は一律、個人事業主は青色申告か白色申告で保管期間が異なっているため、下表にまとめました。 

事業形態 領収書の保管期間
法 人 7年
個人事業主 青色申告者 7年(1部5年)
白色申告者 5年

この項目では、法人と個人事業主のそれぞれの場合をご説明していきます。

なお、上記の保管期間は、領収書の発行日ではなく、確定申告の期限日を起点としていることにご留意ください。

法人の領収書の保管期間は7年

法人の領収書保管期間は、法人税法の「帳簿書類」というところで7年と規定されています

2004年以前は、資本金が1億円を超える法人が7年間、資本金がそれ以下の法人が5年間に別れていましたが、法改正後に一律で7年となりました。

個人の領収書の保管期間は7年もしくは5年

個人事業主の領収書保管期間は、法人とは異なり、所得税法で規定されています。

上記でも少し触れましたが、確定申告の方法で内容が異なり、青色申告なら7年、白色申告なら5年です。ただし、青色申告の場合は、1部は5年となっているので注意しましょう。

それぞれについて解説していきます。

青色申告での領収書の保管期間は7年・1部は5年

青色申告における領収書は「現金預金取引等関係書類」という扱いとなり、保管期間が7年となっています。

先ほど申し上げた「1部5年」というのは、例外的に「前々年の所得が300万円以下だった場合については5年とする」という規定があるためです。前々年の所得がこの規定に掛かるかどうかによって保管期間が変わるのは事実ですが、7年分保管したからといって違法なわけではないので、可能なら7年分保管しておくのがおすすめです

白色申告での領収書の保管期間は5年

白色申告の場合は、領収書保管期間を5年と規定しています。

2014年1月以前、事業所得300万円以下の個人事業主には保管が義務付けられていませんでした。

しかし、それ以降は、上記のように5年間保管する義務が発生しています。2014年以前から事業を行なっていた場合、この新制度に変わっていますのでお気をつけください。

そして、注意点がもうひとつあります。

それが、領収書以外の他の帳簿については7年の保管期間が定められているということです。

これは、消費税の納税義務者で、なおかつ仕入れ税額控除の適用を受けている場合が該当します。混乱しないように領収書も一緒に「7年間保管しなければならない」と覚えておくのが無難です。

領収書整理を楽にする方法は法人と個人事業主で異なる

7年間も領収書を保管しておくとなると、きっちり整理しておかないと収集が付かなくなるのは火を見るより明らかです。

そこでこの項目では、領収書を楽に整理する方法を解説していきます。

法人と個人事業主とでは、ポイントが異なりますので、合わせてご確認ください。

①法人:楽に整理する方法は月ごとに処理していこと

法人の場合は社員数が多くなりがちなので、領収書の量も人数に比例して集まってくるため膨大です。つまり、長期間溜めてから整理していたのでは、さばききることができません。したがって、溜まる前に順次整理していくようにしてください。

ここでいう整理とは、なにかに綺麗に貼り付けて整理するわけではなく、上記で少し触れた月別の封筒を作り、分けて保管するということです。それだけしていれば見返すときも楽ですし、税務署が入ってきても封筒を渡すだけで対応が完了します。

毎月、封筒に入れて保管の流れを繰り返すだけで、領収書を溜め込むことなく処理していくことができます。なお、内部統制や経理規定を導入しているような企業の場合なら日別、週別、月別で決まった処理をしてください。

②個人事業主:楽に整理する方法は事業用とプラベート用の領収書を分けること

再三お伝えしますが、個人事業主だからこその注意点があります。

それが、事業用とプライベート用の領収書を分けることです。どちらももらう癖がついているなら特に注意してなければなりません。例えば、喫茶店で打ち合わせをしたときに、それが事業用かプライベートで利用した領収書かの区別がつきません。

数ヶ月前の領収書を放置しておいて、あとでそれが事業用かプライベート用かの判断をしようと思っても到底できるものではありません。このような混乱を避ける意味でも、プライベート用の領収書はもらわない、もしくはもらってもすぐに破棄するように心がけましょう。そうすれば、手元に残るのは全て事業用ということになります。

あとで経費にしようという欲を出したいのはよくわかりますが、ここは気をつけて処理するようにしましょう。

領収書がない!でも、レシートで大丈夫

「やばい…。領収書がない。けどレシートなら…」こういう状況に陥った人も多いのではないでしょうか?もし、領収書がない場合もレシートがあるなら、それで領収書の代わりになります

むしろ「お品代」としか書かれておらず詳細不明な領収書より、レシートの方が、日時から店名、商品名、お釣りまで、その取引の全ての情報が記載されていることから、信頼性が高いと言われています。

毎回レジで「領収書ください」と言うのが面倒なのであれば、普通にレシートを保管する方法に切り替えてみてはいかがでしょうか。

ただレシートの場合に一点注意しないといけないのは、印字された文字が消える可能性があるということです。レシートは感熱紙に印字されますが、時間の経過とともに薄くなっていく傾向にありますし、日光にさらされたりするとその速度は加速します。したがって、レシートの保管をするなら、日光の当たらない冷暗所で保管するようにしましょう。

領収書を紛失したときは領収書の再発行と出金伝票で代用

領収書を紛失してしまった場合の対処法として、レシートによる代用はご説明した通りです。

その他の対処法について、下記ふたつをご紹介しておきます。

  1. 領収書の再発行を依頼する
  2. 出金伝票で代用する

まずひとつ目に、領収書の再発行についてです。領収書を発行した店舗や取引先に連絡し、再発行を依頼してみましょう。義務ではないので強要はできないのですが、打診すれば再発行してもらうことが可能な場合があります。しかし、再発行には手間がかかりますし、金額によっては収入印紙も必要になってくるため、嫌がられることがあるということを理解しておいてください。

そもそも領収書の紛失は、あくまでも自分の落ち度です。再発行できるからと安易に打診しないようにしてください。

ふたつ目に、出金伝票で代用する方法です。新幹線などを除く電車の交通費や、自動販売機での支払い、結婚式のお祝いの場合などのように、領収書が発行されない支払いの時に発行する「出金伝票」を代用することができます。出金伝票に支払った日や内容、金額が記入されていることが前提となりますが、これらの情報と合わせて、証拠書類(結婚式のお礼状など)を保管しておくことで、領収書の代用としての効力を発揮します。

しかし、あくまでも「代用」であり、通常の方法ではないということに注意してください。

金額が張るものや、頻繁に出金伝票で代用していると、税務調査の際に目をつけられる糸口となることがあります。

領収書を紛失しないためにはファイリングが重要

先ほどは、領収書を紛失した場合の対処法についてご紹介しました。しかし、そもそも領収書を無くさないようにするのが基本中の基本になります。では領収書をどのように保管すれば紛失しなくて済むのでしょうか。

その代表的な方法をご紹介します。

領収書の原本は原則として、紙媒体の状態で保存する必要があるのは前述の通りです。そこで有効なのが、A4やB5などバインダーの大きさに合わせた用紙に領収書を日付ごとに貼り付けてファイリングする方法があります。こうすれば日付順に並べることができて見返しやすくなる上、あとで以前の領収書が出てきた場合でも追加することが容易です。

それを月別に分けておくことで、利便性はさらにアップします。貼り付ける手間は発生しますが、「領収書を入手したらすぐにファイリングする」というルールを癖づけておけば継続することは難しくないでしょう。

このとき交通費・消耗品費・交際費といったように、カテゴリ別に分けてファイリングしておくとさらに見やすくなります。どのカテゴリに入れて良いか不明なものがあったときのために、バインダーと一緒に封筒を用意しておきましょう。

振り分け不明なものを一旦その封筒に入れておいて、あとで税理士などに相談してからファイリングすることもできて便利です。しかし、あまりに綺麗に保管することを大切にしすぎて面倒になってしまっては本末転倒ですので、無理なく続けられる方法で保管しましょう。もちろん月別の封筒を作り、分けて保管する簡易的な方法でもOKです。「領収書は入手したらすぐに所定の場所に保管する」という基本を大切にしておいてください。

領収書の電子化で保管と管理のコストを削減

わざわざ固定費を払ってまでシステムを導入し、領収書を電子化する必要があるのかとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、領収書の管理と経費の計算には必ずコストがかかります。

これは社員数や取引先の数、移動の回数などが多ければ多いほど煩雑になり、コストも増大していきます。その中で、領収書の紛失や再発行の手続き、集めるための連絡や受け渡し、集計に膨大な時間を費やしてしまうのです。これらにかかるコストを抑える方法が、システム化です。システム化することで社内でかさんでいたコストを削減し、他のことに回すことができます。

また、コスト削減以外にも電子化することで領収書原本が紛失しても再発行手続きをしなくていいため、紛失リスクに備えることができます。加えて、先ほどご提示したファイリング作業がなくなるためその作業時間に割いていた労務費も削ることができるはずです。

毎回経費精算で莫大な時間を費やしている企業ほど、システムの導入はご検討いただきたいと思います。

まとめ

領収書は、どうしても量が増えてしまいがちです。そのため、整理するのも一苦労します。しかし、封筒に入れて分けておくだけで解決する悩みも多くなるでしょう。加えて、7年間保管しておけば領収書の保管については問題ありません。

皆様も一度、ご自身の領収書整理方法を見直してみてはいかがでしょうか。

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