1998年に施行された電子帳簿保存法の要件緩和により、今までは紙媒体での保管が義務付けられていた帳簿や書類の電子保存が認められるようになりました。

この法律は改定が繰り返されています。当初はスキャナで取り込んだ電子データしか認められていなかったものが、最近ではスマートフォンの写真も認められるようになり、かなり便利になっています。

ちなみに筆者は7年間の事務職としてはたらいていました。領収書や請求書の保管に関しては、保管場所の確保や書類検索に苦労した経験があります。もし当時電子化が認められていたら、これらの労力が解消されていたのでは…と強く感じています。

この記事ではいまさら聞けない電子帳簿保存法に関する基礎知識を徹底解説!基本的なルールだけでなく、導入する上であわせて利用したいおすすめ経費精算システムについてもまとめました。

経理担当
電子帳簿保存法ってどんな法律なのかしら。紙媒体の書類や帳簿をデータ化できればすごく便利だと思う反面、導入が大変そうでなかなか手が付けられないの…

専門家

電子帳簿保存法は導入時に多少のコストは必要となりますが、申請自体は決して難しくはありません。電子帳簿保存法の基本的なルールや導入方法、メリットデメリットについて徹底解説いたします!

電子帳簿保存法とは「国税関連書類を電子保存すること」

電子帳簿保存法は、一言でいうと「国税に関連する帳簿や書類を電子保存すること」です。具体的な方法として、「電子保存」と「スキャナ保存」の2種類があります。

電子保存とは、パソコンで作成した帳簿や書類を電子保存する方法です。対してスキャナ保存は、紙媒体の帳簿や書類をスキャナで取り込んだデータを電子保存することを指します。詳しい対象書類については後程紹介しますが、電子保存とスキャナ保存で認められている書類や帳簿の範囲が異なるので、注意して対応しましょう。

また、国税関連書類を電子保存する上で、データの信憑性を証明することは重要です。その方法の1つとして、タイムスタンプが多く取り入れられています。タイムスタンプについては以下の記事でわかりやすく解説していますので、あわせて参考にしてください。

電子帳簿保存法の5つの要件

国税庁では電子帳簿保存法上の電子データ保存要件として、以下の5つを規定しています。

電子帳簿保存法の要件

簡単に紹介すると、データが真実であることをわかるように保存することと、出力や検索機能を搭載してすぐにデータを出せる状態で保存することの2つを定めています。

電子帳簿保存法で保存できる書類

先ほど、電子帳簿保存法には「電子保存」と「スキャナ保存」の2種類があると紹介しました。それぞれどのような書類を保存できるのでしょうか。

まず、電子保存については国税庁のパンフレットでは以下の記載がありました。

電子保存の対象帳簿

電子保存の対象書類

参考文献:国税庁HP「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」より

続いて、スキャナ保存の対象となる書類は以下のように記載されています。

スキャナ保存対象書類

参考文献:国税庁HP 「はじめませんか、書類のスキャナ保存!」より

これらの規定をまとめた表がこちらです。

電子帳簿保存法の範囲まとめ

また、国税関連書類は「帳簿」「決算関係書類」「その他の証憑類」の3種類に分類されます。

  • 帳簿:総勘定元帳、仕訳帳、売上・仕入帳など
  • 決算関係書類:貸借対照表、損益計算書など
  • その他の証憑類:契約書、領収書、注文書、請求書など

電子帳簿保存法の対象書類は少しややこしいですが、「自分でパソコンでつくった帳簿や書類は電子保存可能。紙媒体のものは、その他の証憑類のみがスキャナ保存の対象となる」と覚えましょう。

電子帳簿保存法へ対応する3つのメリット

電子帳簿保存法を導入すると、以下のようなメリットがあります。

  • メリット①:書類を保管するための経費が削減できる
  • メリット②:検索がしやすい
  • メリット③:書類の紛失や誤破棄を防げる

共通するのは、事務担当者の負担がかなり軽減すること。書類を保管する場所の確保やファイリング、膨大な書類の中から必要なものを探す際の人件費が解消される点は、会社自体の経費削減にもつながります。

電子帳簿保存法を導入することで便利になるポイントについて、以下の記事もあわせてご覧ください。

電子帳簿保存法へ対応するデメリット

とても便利そうに見える電子帳簿保存法ですが、導入している会社はまだまだ少ないのが現状です。その理由は以下のデメリットに関連しています。

  • デメリット①:電子帳簿保存法導入に費用や労力がかかる(税務署への申請が面倒など)
  • デメリット②:領収書の受領者本人がスキャンを行う場合、3日以内に署名を行い、かつ電子化をすることが必要
  • デメリット③:すべての書類を電子保存できない
  • デメリット④:要件を満たす形でのデータ保存が必要

電子保存をするためにはクリアしなければならない要件があり、知識がない状態では少し難しく感じてしまいます。また、電子化が認められていない書類や帳簿の取り扱いを間違えてしまっても大変です。

これらの知識を得るための労力や、導入にかかる費用・手間を考慮した結果、「とりあえずは従来通りのやり方を採用しよう」と、電子帳簿保存法の導入を先延ばしにしてしまう会社も多いようです。

電子帳簿保存法の歴史

電子帳簿保存法は1998年に施行されましたが、その後は度重なる改正が行われ、現在の形になっています。

  • 1998年:電子帳簿保存法施行
  • 2005年:e-文書法施行により、スキャナ保存が認められる
  • 2015年:税制改正(金額などの要件を撤廃、適正事務処理要件が追加)
  • 2016年:税制改正(スマートフォンで撮影した画像も認められる)
  • 2018年:税制改正(A4サイズ以下の領収書の保存も認められる)
  • 2019年:税制改正(申請前の書類の電子化などが認められる)

詳しい改正点や緩和ポイントについては、以下の記事もあわせて参考にしてください。

電子帳簿保存法の導入方法・手続き方法を解説

難しそうな印象のある電子帳簿保存法ですが、基本的には3つのステップで簡単に導入できます。

  1. 会社内で電子帳簿保存法に基づいたフローを作成する
  2. 電子帳簿保存法に対応したシステムを導入する
  3. 利用開始の3ヵ月前までに税務署へ申請書類を提出する。

3の税務署への書類提出について、国税庁のホームページには以下のような記載がありました。

[添付書類・部数]
1 承認を受けようとする国税関係帳簿の作成等を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類 1部
2 承認を受けようとする国税関係帳簿の作成等を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書の写し) 1部
3 申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類 1部

参考文献:[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請より

電子帳簿保存法の申請手続きや導入準備については以下の記事でも詳しく紹介していますので、合わせてご覧ください。

電子帳簿保存法へ対応のシステム

最近は便利な経費精算システムが多数開発されています。もし今後、電子帳簿保存法の導入を検討しているのなら、電子帳簿保存法に対応しているシステムを導入するのがもっとも便利です。

電子帳簿保存法対応の経費精算システムの一例として、以下のものが挙げられます。

  • Dr.経費精算
  • eKeihi
  • 経費BankⅡ
  • rakumoケイヒ

最初に紹介したDr.経費精算の場合については、電子帳簿保存法の導入に関するサポートも受けられます。これから導入手続きをすすめていく予定なら、このようなサポートも上手に利用することで、導入に関する負担の軽減につながりますよ。

各社サービスについて詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。

まとめ

電子帳簿保存法について、法律関連の基本事項から手続き方法、メリット・デメリットなどを紹介しました。初期投資はかかるものの、帳簿や書類の原本を保管していた倉庫の家賃や、管理している人の人件費などを考慮すると、早めに取り入れておきたいところ。

最近は便利な経費精算システムもたくさんあります。電子帳簿保存法に対応しているものを選べば導入や社内フローに関するアドバイスが受けられるものもあるので、スムーズな導入を実現させましょう!

電子帳簿保存法についてセミナーでガッツリ学びたいという方に向けて、下記の記事でセミナーも紹介しております。ぜひご参考くださいませ。

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