「旅費交通費と交通費は何が違うのかわからない!」
毎日経理処理をしていても、この2つのよく似た費用の違いに戸惑うことがあります。

実は旅費交通費と交通費、それぞれに該当する経費は「使う目的」ごとに違いを見極めると苦労しないで処理できます。

この記事では間違いやすい2つの費用の違いを、豊富な具体例を交えながら徹底解説しています。
また、使用する目的やシチュエーションにより変化する、旅費交通費と交通費の適切な勘定科目を使った仕訳例も紹介。

違いを知り手間のかかる経費精算を効率化して、本来の業務に取り掛かる時間を確保しましょう!

経理課
実務の中でも「旅費交通費」と「交通費」の区別に迷うときがあります。分かりやすく具体例や仕訳例をあげながら教えてほしいわ…
専門家
よく似ている2つの経費の違いは「業務の目的」に注目すれば簡単に見分けられます。旅費交通費、交通費のどちらに該当するか、その違いをしっかり見極められるよう解説しますね!

旅費交通費と交通費、経理上の違いを解説

もともと旅費交通費は1つの勘定科目ですが、実務では「旅費」と「交通費」の2つに分けて処理されます。

  • 旅費  … 主に遠距離の移動
  • 交通費 … 勤務地付近の近距離移動

明確な決まりはないのですが、勤務地から100~150km以上の距離だと出張としての「旅費」として処理する企業が多いようです。

(1) 旅費交通費の定義

「会社の命令で勤務地以外の場所へ向かうための費用 + それに伴う必要な経費」

分かりやすくいうと業務命令で移動する際に発生する費用は、旅費交通費にあたり交通費、宿泊費、日当(出張手当)などが含まれます。
また、旅費交通費の税法上の扱いは、原則的に損金算入・課税仕入れに該当するため、仕入税控除額の対象となり法人税計算に影響します。

(2) 交通費の定義

「会社の命令で勤務地から客先を訪問するための費用 + 自宅からの通勤費」

営業が取引先の企業を訪問するときに発生する費用、社用車の駐車場代などが交通費に該当します。
電車代やマイカー通勤など、自宅から会社までにかかる費用も交通費と呼ばれます。
通勤費は原則非課税のため、所得税の計算には含まれないメリットがありますが、以下の場合は課税対象となります。

  1. 国税庁が定める一定額を超えた分
  2. 給与に加算して交通費が支払われる場合

詳しくは後述しますが、通勤方法により非課税枠の上限に違いがあるので、筆者が企業で経理担当をしていたときも混同するときがありました。

旅費交通費に該当する5つの経費

飛行機での出張

次に具体的な旅費交通費に該当する、5つの代表的な費用を紹介します。
交通費だけでなくセットで発生する必要経費も含まれるのが特徴です。

(1) 出張時の交通費

仕事で命じられた出張の交通費は「旅費交通費」に該当します。
会社の旅費規定に基づいて支払われる費用、出張先で移動するときに発生する費用とイメージすれば分かりやすいでしょう。

  • 電車代
  • 飛行機代
  • 有料道路の通行料
  • 駐車場料金
  • タクシー代

(2) 宿泊費

出張等で宿泊が必要になったときの費用も、旅費交通費に含まれます。
領収書で清算した費用、会社の旅費規定に基づいて定額で支払われた費用が該当します。
もし、会社に旅費規定がない場合に定額清算すると、個人の所得となり課税対象になるため注意が必要です。

(3) 海外出張費

国内だけでなく海外出張も旅費交通費として処理します。
飛行機代、宿泊代、食事代、日当などが該当しますが、消費税は国内分しかかかりません。
海外で発生した費用は非課税として処理する点に注意しましょう。

もし、海外出張規定が別途定められている場合は、規定に従って支払われた定額の費用(海外出張支度金等)も旅費交通費に含まれます。

(4) 転勤などの赴任旅費

赴任の際に発生する旅費、引っ越し代金、赴任手当も旅費交通費になります。
別途規定で定めることで家族の交通費・宿泊費や、社宅の選定等で事前に赴任地に行くときの費用も含めることができます。
赴任旅費は以下の2つの特徴があり注意が必要です。

  1. 仕入税額控除の対象にならない(売上の消費税から控除できない)
  2. 単身赴任者の帰省旅費は所得税の課税対象

赴任旅費は企業活動に必須とはいえないため、消費税計算の仕入税額控除に含めることができません。
帰省・帰郷旅費には所得税がかかりますが、国税庁が定める一定の基準を超える部分は「特定支出控除」として所得額から控除できる可能性があります。

参考文献:国税庁「給与所得者の特定支出控除」

(5) 旅費にともなう日当や食事代

会社命令の出張日当や手当、食事代などを旅費規程に基づき定額で支払うと、付随する費用も旅費交通費として処理できます。
日当の定め方は会社により違いがありますが、「出張先が100km以上なら日当を支給」「宿泊日数に応じて日当を支給」などと決めている企業が多いようです。

注意!旅費交通費にならないケース

会社が旅費規程を定めていない場合は、支給された日当や食事代は所得税の課税対象となります。
私が大手企業の経理を担当していたときは、会社規定の通りに支給していたので処理は楽でした。
しかし、規定がない場合は課税・非課税の費用を分けて処理する必要があり、経理の負担が増える可能性があります。

交通費に該当する5つの経費

改札

比較的近い距離の移動にかかった費用は交通費に該当します。
中には支給時に所得税が課税されるケースもあるので注意が必要です。

(1) 電車・バスなどの公共交通機関

電車やバスなど日常的に利用する移動手段は交通費に該当します。
経理担当が一番処理する頻度が高いものが、これら公共交通機関の費用でしょう。
申請書に基づいたルート・金額の確認や、清算を依頼してくる社員の負担も大きくなり、双方が時間を取られるデメリットもあります。

最近では面倒な交通費の清算を簡単にするため、「経費精算システム」を導入する企業が増えてきました。
乗換案内やICカード、モバイルSuicaと連動して、経理や社員の負担を減らすことが可能です。

(2) タクシー料金

地方など場所によってはタクシーを利用して移動することもあります。
この場合も交通費に該当するので、社員が申請書を作成して精算する必要があります。

(3) 通勤費

通常時に会社へ出勤するときの費用は交通費に該当しますが、自宅から主張先へ直接出向く際は旅費交通費となります。

交通機関を使った通勤費の非課税額上限は15万円

原則非課税の通勤費ですが、国税庁により限度額が定められています。
交通機関を使用している人の非課税限度額は、平成28年に5万円引き上げられ1か月あたり15万円になりました。
マイカー通勤の場合は距離ごとに7段階に分けられています。

また、全社員に一律で交通費を支給している場合は、徒歩通勤者への支給額は給与と同じ扱いとなり、所得税の課税対象となります。

旅費交通費上限表

出典:国税庁「通勤費の非課税限度額」

(4) 駐車場の料金

外出時の駐車場、コインパーキング代は交通費に該当します。
しかし、長期にわたる契約の月極駐車場は「地代家賃」として処理する必要があり交通費にはなりません。
一時的な駐車場の利用は交通費、月単位で借りるなら地代家賃になると覚えておきましょう。

(5) 有料道路の料金(高速道路)

通常の勤務地を拠点として有料道路を使用した場合は、比較的短距離なら交通費として実費で清算します。
出張で遠くの土地に行くために高速道路を使ったなら、旅費交通費に該当するため違いに気を付けましょう。

旅費交通費・交通費以外の勘定科目も?仕訳の違いを紹介

旅費交通費、交通費以外にも、移動にかかった費用を処理する勘定科目が存在します。
違いを見分けるポイントは「どんな目的で移動したか」です。
筆者も経験がありますが、決算時に間違った勘定科目で処理しているのを発見すると、非常に手間がかかりますので普段から気を付けて処理しましょう。

旅費交通費に該当する経費の仕訳例

普通なら「旅費交通費」として処理する費用も、以下の目的の場合はそれぞれ違う勘定科目になります。

【不特定多数の顧客を招待した際の旅費】

借 方 金 額 貸 方 金 額
広告宣伝費 200,000 現 金 200,000

【社員旅行】

借 方 金 額 貸 方 金 額
福利厚生費 550,000 普通預金 550,000

【研修目的の交通費や宿泊費】

借 方 金 額 貸 方 金 額
研修費 320,000 現 金 320,000

交通費に該当する経費の仕訳例

いつもは「交通費」で処理するタクシー代も、このようなシチュエーションだと次の勘定科目で処理します。

【取引先の接待のためのタクシー代】

借 方 金 額 貸 方 金 額
接待費 5,400 現 金 5,400

【業界関連の団体との親睦を目的とした交通費】

借 方 金 額 貸 方 金 額
交際費 35,000 現 金 35,000

旅費交通費と交通費精算を楽にする実務例

経理経験が8年以上ある筆者も、毎月交通費関係の処理には時間をとられていた苦い経験があります。
そこで、面倒な経費精算の時間を短縮する実務例を2つずつ紹介します。

旅費交通費の清算を楽にする2つの実務例

まず、出張時の清算の手間とストレスを解消する2つの方法をご紹介しましょう。
実務的な方法だけでなく、出張する社員の負担を減らすことにもつながります。

(1) 出張仮払い金で社員の負担を軽減

出張旅費を事前に社員に支給できる制度が「出張仮払い金」です。
飛行機などを使った遠方への出張で、いったん社員が自腹で立て替えている会社も多いのではないでしょうか?
場所によっては10万円を超えるケースもあり、社員にとって負担が大きく苦情や不満が発生する原因にもなります。

【出張仮払い金を10万円支給した仕訳】

借 方 金 額 貸 方 金 額
仮払金 100,000 現 金 100,000

【帰社後に旅費交通費5万円、交際費3万円を使った仕訳】

借 方 金 額 貸 方 金 額
旅費交通費 50,000 仮払金 100,000
交際費 30,000
現 金 20,000

【帰社後に旅費交通費6万円、交際費5万円、1万円を立て替えた仕訳】

借 方 金 額 貸 方 金 額
旅費交通費 60,000 仮払金 100,000
交際費 50,000 現 金 10,000

(2)「出張旅費規程」作成のメリット

あらかじめ就業規則の中に「出張旅費規程」を定めておくと、実費精算の手間が省ける、非課税枠を利用できるというメリットがあります。

  1. 出張の日当が非課税で支給できる
  2. 一定の要件で宿泊費なども定額支給できる
  3. 領収書を使った実費精算の手間が省ける

日当を非課税で支給できると会社は費用として処理できるうえに、社員は非課税で受け取れるので双方にメリットがあります。
宿泊費も定額で渡せるようになると、領収書を確認して個人的な費用を分ける必要がなくなるため、経理の負担も少なくなります。

交通費精算を楽にする2つの実務例

実は現状の勘定科目はSuicaなどのICカードの仕訳に対応しきれていません。
会社により処理方法に違いはありますが、「貯蔵品」という資産勘定を使って精算することもあります。
大手企業の経理経験がある筆者が、日々の交通費精算を楽にする2つの方法をご紹介します。

(1) Suica / PASMOなど交通系ICカードの仕訳

交通系ICカードの処理は「貯蔵品」より「仮払金」を使ったほうがスムーズに処理できるでしょう。
今や経理ソフトを使わない企業は少ないと思いますが、新人教育に教える項目が増えるばかりでなく、複雑な科目を使うことでミスが増える可能性があります。
下記のように使いなれた「仮払金」を使い仕訳をすれば、スムーズな費用精算につながります。

【ICカードに5,000円をチャージした仕訳】

借 方 金 額 貸 方 金 額
仮払金 5,000 現 金 5,000

【ICカードを2,000円使用して移動した仕訳】

借 方 金 額 貸 方 金 額
旅費交通費 2,000 仮払金 2,000

 

(2) 経費精算システムの導入で経理の負担を軽減

Dr.経費精算

面倒な旅費精算の強い味方となってくれるのが「Dr.経費精算」に代表される経費精算システムです。

  • 駅を入力すると運賃を自動で計算
  • 定期を使う期間は自動で控除
  • ICカードをタブレットにかざすだけで自動処理
  • モバイルSuicaなら完全自動連携で処理できる

このように便利な機能が充実しているため、経費精算にかかる時間を1/10に短縮できた企業もあります。
導入のサポート体制も整っている「Dr.経費精算」は、人手不足に悩む経理や会社の強い味方となってくれるでしょう!

クラウド型経費精算システム「Dr.経費精算」公式サイト

まとめ

毎日発生する経費精算の中で間違いやすい、「旅費交通費」と「交通費」の違いを解説してきました。
ポイントは「使用する目的」に着目して、適切な勘定科目を選ぶことです。

会社によっては2つの費用を一緒に処理しているケースもあるでしょう。
しかし消費税や法人税の計算、社員の所得税の額に影響するため、きちんと判断して処理するようにしたいですね。

特に清算に手間がかかる旅費交通費は、経費精算システムを導入することでグンと効率がよくなります。
スマホで撮影した画像を領収書として保存できるなど大きなメリットもあり、これを機に導入を検討してはいかがでしょうか?

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